戦争は武器を持っての戦場での戦いとして記録されるだけでなく、個人と集団の記憶に深く影響を及ぼします。私たちが家族、学校、メディアをとおして触れる戦時の物語はさまざまであり、トラウマを解消できない「被害者」と「加害者」の記憶は戦後、史実に照らして見直されることなく共存したり、対立したりもしていきます。さらに、メディアは、記憶に政治色をつけながら、さまざまな角度から異なる物語を映し出します。「敗戦国」であった日本では、調和が最優先される語りが主観的に選び取られ、若い世代が歴史を学ぶことに消極的になり、「和解」のプロセスに関わることがほとんどないという状況も生じています。シリーズ 戦後80周年 特別イベント「戦争の記憶と戦後の秩序形成」では、国際秩序、個人のトラウマ、移住体験、戦争遺跡の歴史のナラティブなど、戦後の東アジアの歴史的記憶がどのように構築され、再現されたかを多方面から議論していきます。